アイデンティティプロバイダ(IdP)とは?
アイデンティティプロバイダ(Identity Provider:IdP)とは、ユーザーの「身元(アイデンティティ)」を確認し、その情報を他のシステムやサービスに提供する役割を持つシステムやサービスのことです。
簡単に言うと、「ログインを代行してくれる信頼できる存在」です。たとえば、GoogleやApple、Microsoftなどのアカウントで別のWebサービスにログインできるのは、このIdPの仕組みがあるからです。
仕組み(どう使われているか)
- ユーザーがログインを試みる:利用者があるWebサービスにアクセスし、ログインを求められます。
- IdPが本人確認を行う:ログイン情報(IDとパスワード、または生体認証など)を使って、IdPがユーザーの身元を確認します。
- 認証トークンを発行し、サービスへ渡す:認証に成功すると、IdPは「この人は本人です」という証明(トークン)をWebサービス側に渡します。
- サービス側がログイン許可を出す:受け取ったトークンをもとに、サービス側はログインを許可します。
アイデンティティプロバイダの特徴
- シングルサインオン(SSO)の基盤になる:IdPを使うことで、1つのアカウントで複数のサービスにログインできるSSOが実現できます。
- ユーザー管理の集中化:ユーザー情報をIdP側に集約することで、各サービスでの個別登録や管理が不要になります。
- セキュリティ強化が可能:多要素認証(MFA)やアクセス制限など、高度な認証手段をIdPにまとめて設定できます。
- 連携プロトコルが標準化されている:SAML、OpenID Connect、OAuth 2.0など、サービス間での連携に使える標準技術が整備されています。
メリット
- ユーザーは1つのIDで複数のサービスにアクセスできるため、ログインが簡単になります。
- パスワードの使いまわしを減らせるため、セキュリティリスクが下がります。
- 管理者はユーザー情報や認証方法を一元管理でき、運用負担が軽減されます。
- MFA(多要素認証)などをIdP側に導入すれば、全サービスで強固な認証が可能になります。
デメリット・注意点
- IdPに障害が起きると、連携しているすべてのサービスにログインできなくなる可能性があります。
- 初期導入やサービス間の連携設定には技術的な知識と手間が必要です。
- ユーザーの個人情報を一括で管理するため、漏洩対策やガバナンスが重要になります。
- 外部IdP(例:Google、Appleなど)を使う場合、そのサービスの仕様変更に影響を受けることがあります。
まとめ
- アイデンティティプロバイダは「本人確認を代行してくれる信頼できるサービス」です。
- シングルサインオンや多要素認証の実現に欠かせない存在です。
- 利用者にも管理者にもメリットがありますが、導入時にはセキュリティ設計が重要です。
- 正しく運用すれば、便利さと安全性を両立できる仕組みです。